相良先生の目を見ずにわたしは窓の外に目をやり、初めて家の前に帰ってきたのだと知った。


わたしが生まれてからずっと住んでいる平屋建ての一軒家。

狭いけど庭にはお母さんから咲子さんに受け継がれたガーデニングの花が咲いてる。


瓦葺きじゃないイチゴみたいな真っ赤な屋根とちょっとクリーム色がかった壁。


お母さんが童話好きだったから、お菓子の家に憧れてそういうデザインにしたって昔に聞いた。


いつもは家に帰ったらホッと出来るのに、今は帰りたくない気持ちが強い。