そんななか。 一瞬だけ浮かんだ鮮烈な横顔。 ……違う。 その人は関係ない。 ただの行きずりなのだから、二度と関わりを持たないのだから。 淡雪よりも泡沫よりもすぐに消えゆく関係。 忘れなくちゃいけないのだから。 忘れて――。 忘れなさい。 「望月、望月」 肩を揺すられる強さで目が覚めた。 気がつけばわたしは後部座席にシートベルトもしないまま横たわってたみたいで。 車のシート越しに京の顔が見えた。