【駆琉side】
あの日、想乃が大泣きしてた理由を聞いて正直びびった。
俺は一回も死にたいなんて思ったことないから。
だから“俺のために生きろ”なんて自分勝手な言葉しか言えなかった。
気の利いたこと俺には言えねぇし……。
一応、連絡先交換したけど全く連絡はなくて。
大丈夫か、アイツ。
なんて思いながら俺は今日も遅刻して学校に来た。
遅刻しても来るだけ有難いと思え。
眠たい……。
下駄箱にいると聞き慣れた高い声で、俺の名前が呼ばれる。
「駆琉くん…?」
「…ん?あ、チビか」
「今から登校ですか…」
「悪いか」
「う、ううん!滅相もない!」
俯きながら話すアイツの顔は、長い髪の毛で隠れてて見えない。
なんか隠してる。
「おい」
「なっ、何?あ…ちょっと…駆琉くん…!」
指でアイツの顎を上げて、上を向かせると唇の生傷と左頬が腫れてる。
やっぱりな………。