そして、まだ影が来ていない所に来た。
「おっ!ここなら鍵空いてたぜ」
そう言って普通の民家に入っていくディラン。
私も後に続き、建物の中に入った。
「水道みっけー」
彼は水道の蛇口をひねった。
勢いよく流れ出した水を、2人で交代でのんだ。
水はぬるかったが、充分。
「よし、戻るか」
私がそう言った時、ガタッ…と何か物音がした。
「ん?…誰かまだいんのか?」
2人で部屋中を見渡す。
すると、床の板がくり抜かれて、浮いている場所を見つけた。
地下の入り口だろうか?
よく見ると、誰かがその隙間から覗いていた。
「うわっ…びびったあ。そこにいんの誰?」
その瞬間、板はバンッと音をたてて、入り口を塞がれてしまった。
「こんなところに、まだ人が残っていたのか」
私はその床の真横にしゃがみ込み、板を持ち上げた。
そこには、小さな男の子がうずくまっていた。
「何だお前?逃げ遅れたのか?」
ディランがくり抜かれた床を覗き込む。
そこは本当に小さな穴で、少年1人入るのが精一杯だった。