目をそらしたくなる気持ちを抑えて、まっすぐな視線に真正面から見つめ返し、そう言った。

瞬間、暁くんの目が驚いたように見開かれて。
声にならないまま、唇が、え、と動いたのが分かる。

「え、……え?」

「ずっと好きだったの! だけど、暁くんには彼女がいるってずっと思ってて……、だから、昨日はびっくりしてあんなふうに逃げちゃって、……ごめんなさい」

わたしが謝ると、暁くんは慌てたように声をあげた。

「いや、えっと、うん、俺も突然だったよね。驚かせてごめん。情けないんだけど、彼……、桐原君と仲良いところ見たら、なんか焦って」

恥ずかしそうにそう言った暁くんに、きゅんと胸が鳴る。

なんだかもう、暁くんの言葉ひとつひとつが嬉しくて、くすぐったくて、胸の奥が疼いて仕方ない。

「ねぇ、花南さん。改めて言わせて」

穏やかな声でそう言われたかと思うと、顔を上げたと同時に、耳にふわりと何かが触れた。

それが暁くんの唇だと気づいたのは、彼の囁くような声が聞こえてから。

「すきです。俺と、付き合ってください」

脳に直接響くようだった。

きゅん、と胸を襲った衝撃が大きすぎて、声が出ない。

「は、い」

それでもなんとか声を絞り出すと、暁くんは、よかった、と言ってふわりと微笑んだ。

その笑みがとても幸せそうで、その幸せの理由にわたしがいるということがどうしようもなく嬉しい。