すると、ふいにすぐ目の前に誰かが近づいてきた気配を感じて、反射的に顔をあげる。

……だれか、なんて、この状況では暁くんしかいないわけで。

触れてしまいそうなほどの距離で目があった暁くんは、とても真剣な表情をしていた。

思わずごくりと喉が鳴る。

「そういうこと言われると、勘違いする。もしかして、って」

「勘違いじゃ、ない……」

ぽつりと呟くようなわたしの否定に、暁くんのきれいな瞳が揺れる。

「恋人じゃない人に独占欲を持っていたのは、わたしだって同じだよ」

彼女がいるから、そう言い聞かせてきた。
だけど、頭では理解できていても、心が追い付かないからこそ、ずっと片想いを続けてきたんだ。

暁くんが楽しそうに女の人と話していたら嫌だし、暁くんにがわたし以上に仲のいい女の人の同期ができるのも絶対に嫌だと思っていた。

「わたしも、暁くんに独占欲持ってるよ。……暁くんのことが、ずっと好きだったから」