桐原くんと話しているだけで、暁くんがやきもちを妬いてくれるなんて、今まで想像もしてなかった。
嫌だなんて、思うわけない。
「むしろ、うれしいよ」
わたしの言葉に、暁くんは驚いたように目を大きく見開いた。
うれしい、が何を指しているのか気づいたようだ。
「……本当に? 好きでもないやつに独占欲とか持たれて……ウザくない?」
「暁くんのことをウザいなんて思うわけない。わたしのこと、その、す、すきだから、そういうふうに思ってくれるんでしょ?」
自分の言葉に恥ずかしくなりながらもそう言うと、暁くんはさらに驚いたような顔をした。
そんな反応にさらに恥ずかしくなって、羞恥を誤魔化したくて、口を開く。
「わ、わたし! 暁くんの独占欲なら、いくらでも大歓迎だよ!」
「ちょ、え!?」
焦ったような暁くんの声に、はっとする。
恥ずかしさを誤魔化そうとしたのに、さらに恥ずかしいことを言ってどうする!
「ご、ごめん、何言ってるんだろう。忘れて!」
かああ、と顔が熱くなってきたのがはっきり分かる。
思わず両の頬を掌でおさえて、暁くんから顔を背けてしまった。