高岡由愛。ひとつ上の階で働いている同期。

いつも暁くんが飲みに誘ってくれるときには由愛やほかの人にも声をかけるから、いつもと同じようにわたしはそう言った。

うん、よろしく。って、そんな言葉が返ってくることを疑わずに。

だから、

「あー、今日のメンバーは俺に任せてもらってもいい?」

と今までになかった言葉が暁くんの口から返ってきて、わたしはかなり驚いてしまった。


「え?う、うん。別にいいけど、珍しいね」

人見知りなんて言葉には縁がない暁くん。

この前も、由愛が連れてきた初対面の先輩たちとだって、楽しく飲んでいた。

暁くんはそういう皆でワイワイするのが好きなのかと思ってたけど。

今日は、少人数の気分なのかな?


そう思って、わたしは深くは追求せずに「場所が決まったら教えてね」とだけ言って、自分のデスクに戻った。


暁くんと同じ部署で働いて、3年目。

こんなに一緒の時間を過ごしていても、時折予想と大きく違う行動をされるから、びっくりする。


そんなところも、彼の魅力だとは思うけど。