たしかに大学生のころは仲が良かったけれど、それはあくまで友達として、だ。

わたしが桐原くんを好きだったことなんてないし、桐原くんだって同じだろう。

わたしたちの間に男女のなにかが芽生えたことなんて一度たりともない。

一緒にいることが多かった大学時代でさえ、周りからそんなふうに見られたことなんてなかった……と思う。だって、そんな質問されたことがないし。

それなのに、どうしてよりによって今、一番誤解されたくない人に──ようやくできた好きな人に、疑われてしまっているんだろう。


「黙ってるってことは、やっぱり合ってた?」

驚きすぎて二の句が継げずにいたわたしの沈黙に対しても、暁くんはまさかの解釈。

わたしはあわてて首を横に振った。
反動で首が伸びてしまうんじゃないかってくらいに勢いよく。

「ちがうよ、びっくりしすぎて言葉にならなかったの! 桐原くんは大学の頃に仲が良かったグループのひとりで……、それ以上のことなんて何もない!」

「え」

わたしの必死の弁解に、今度は暁くんのほうが驚いた顔をする。