それほど酔っているようには見えなかったけど、もしかしたら違ったのかもしれない。
あれはきっと、一瞬わたしのことを彼女と間違えちゃったとか、たぶんそういうことだったんだと思うことにしている。
だからあの日の戸惑いもドキドキも、自分の中で処理しようと思っていた。
……だけどあれ以来、ふいにあのときの暁くんの体温を思い出してしまって。
結局、ひとりでは抱えきれそうにないから、信頼できる由愛に話を聞いてもらうことにしたんだ。
しばらく彼氏がいないわたしとは違って、彼氏の途切れない恋愛体質な由愛。
お世辞にも男運がいいとは言えないけれど経験豊富であることには変わりないし、何よりいちばん仲がよくて信用できる同期だし。
相談する相手は由愛以外思いつかなかった。
「でも、一緒にいたい、なんて。あたしなら何とも思ってない男の人には言えないよ?
あっきーなら尚更そうだと思うし、ふざけてそういうことを言う人でもないでしょ?」
ぱくり、と卵焼きを口に入れた由愛の言葉に、わたしは心の中で頷いた。