田口警部の行方がわからなくなってもう一週間がたった
警察内部では田口警部はもう殺されたと噂が流れてる
「梓…田口警部、殺されたのかな…」
「馬鹿言わないで、警部が死ぬわけないでしょ」
「…お前は、田口警部に何を託してるんだ?」
「え…?」
託す…??
私は託してなんかない…
ただ、警部が私にとって最後の希望ということ
「何も…何も託してなんかいないよ」
託せるものなんてないよ
「…そっか……ま、いっか」
「うん…」
田口警部と恋人関係にあった仲道千鶴。
仲道千鶴が殺されたんだから、田口警部も捜査に全力をつくしたはずだ。
「あ!!!晴と梓!!!」
「おお!!!将生じゃん!!!」
「お前らさー、俺らにいろいろ頼んどきながら二人仲良く遊んでんじゃねえよ!」
「なっ!!遊んでなんかないし!!!私はただ…」
「ただー??なにか教えなさいよー」
「俺らは、田口警部のことについて考えてただけだ!!!」
晴の言葉で少しにぎやかだったこの場所が、静まり返った。
「田…口警部……」
「てか…何しに来たの??」
「あ、だっただった!!頼まれてたやつ、鑑定してもらった」
「はい、これ!!」
桜子からもらった書類を急いでみた。
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××工場の血痕
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鑑定結果
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田口大和
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AB型
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現場の血痕との一致率…94.7%
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追加結果
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工場の柱についていた血痕
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ボンベイ型
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人物不明
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「柱??」
「うん、なんかさー柱にも血痕ついてたから調べてみたらなんとなんと、ほかの誰かの血液だったわけよー!!!」
「まてよ!!あの大量の血痕が田口警部のなら…まさか……」
「やめて!!!」
「「「!!」」」
考えたくなかった。
ただただ、希望の光が逃げていくのを
理解したくなかった。
あの血痕がみつかってから1週間たってる。
そんな中で助かってるだなんて確率引くすぎる。
「おい!お前ら!」
「つ、司さん!!!」
「あのメモ用紙捜査本部全員に配っといたぞ」
「ありがとうございます!!」
「そしたらさー、刑事副部長と理事官に怒られちまった」
え…??
「理事官…??」
もちろん、このメモを田口警部に隠しておけと言われたけど、その約束を破ってまでこのメモを配ったのは刑事副部長へ私からの挑戦状だ。
でも、なんで理事官が??
「あぁ、そうなんだよ!!」
「梓…お前まさか…」
晴が私にこんなことを言った意味は分からなかった。