「フウ-…工場まで遠いな!!」


「ほんと…」


少し息を整えようとした時だった








パァンッ













もちろん、これが銃声だってわかってた



それは隣にいた晴もわかっていたと思う


「…今のって…」


確認するように晴は私に向かって聞いてきた


「銃声だね」


かなり低い声だったと思う

それくらい、ことは一刻を争っている状況だ


「もしかして、警部が?!」


「応援は呼んである。今は私たちが行くしかない」


「ま、マジで…??」


「マジ。大マジ」


「拳銃…持った方がいいのか??」


「当たり前でしょ、死にたいの??」


「バカか!!」


お前がだよ…ていいたかったけどあえて我慢。

田口警部がもし撃たれていたら、すべてが終わる。

私の希望の光でもある田口警部を死なせてはいけない



「321で一気に行くよ」


「背中合わせな!!」


「うん…3…2…」


「…」


「1…」


「ー…」


「0!!!」


「ッッ」








銃を構えて2人背中合わせになりながら辺りを見渡す

こういうときってやっぱ晴がいてくれるだけで安心できる

なんて、晴じゃなくても安心できるのにね



「誰もいない…」


晴の言葉で我に返る

やばい、だめだ。


周りをもう一度見渡したけど
田口警部もいなかった


だけど…



「血痕…?!」


晴がいきなり数メートル離れている所を指さした


「そう、だね…誰のだろう」


鑑識もついでに呼んだ

数分後に警察が、
十数分後鑑識が来た


「梓、晴!!!大丈夫か?!」


「司さん!!!うっす!!!大丈夫っす!!!」


「よかった…」


「梓!!!怪我してない??」


「麗華さん…大丈夫ですよ、怪我してません。それにしても、麗華さんがくるって珍しいですね!!」



麗華さんは普段パソコンでデータ調べたり書いたりして私達に何かと連絡してくれる人
前、お嬢様なのに刑事ってもったいないっていったら



『私はお金持ちでいいことなんてひとつもなかった。お父様やお母様はいつも遊び放題、なにか問題起こしても金で解決。私はもともとパソコン器用だったし、刑事になって情報を部屋から発信する係になってみたいなーって思っただけ!テレビドラマでよくあるでしょ?』




って笑いながら言っていた


だから麗華さんがここにくるのはよほど何か気になるのがあったんだろう


「何がきになったんですか?」


「銃声…でも、銃弾がないの」


「…そうですか…」


「実は本物の銃じゃなかったりして!!」


麗華さんが可愛い顔で推理してる途中に将生の兄、亮太さんがバッサリときった


「血痕みつかってんのに、本物じゃないわけねえだろ、頭使え。」


「うげ、でたでた」


「血痕はまだ乾いてなかった。だとすると考えられるのはひとつ、まだ銃弾が」


「被害者の体に埋まってる…ってことでしょ!!」


「よくわかったな、ばか」


「うーーー、もう!!」


怒った顔も可愛い麗華さん。

晴みたい…って、失礼だよね、私!!

すいません

心の中で謝った