「…いいか??ここは室田さんの家だ。奥さんに迷惑がないようにな!!」


「…誰に向かっていってんの?あんたの方が心配なんだけど」


「え、俺?!絶対お前だろ!!」


「はあ?!晴でしょ!!」


「あーのな、梓の方が心配だ!!何言い出すかわかんねえもん!!」


「その言葉、そっくりそのまま返す!!」



「あのー…」



『あ…』


「すいません」
「ごめんなさい」


「うちに何か…??」


「あー、えーと…僕たちこういうものなんですか…室田哲也さんのお宅でしょうか??」


「ええ、そうですが…主人が何か…??」


「実は、室田哲也さんが昨夜何者かに殺されまして…」


「…そう、ですか…」


「??…あまりおどろいてないですね…」


「えぇ…だってもう縁をきっていましたから」


「どういうことですか??」


「離婚届を渡したんです。だけどあっちが出してくれないままだったので」


「そう、ですか」


「で、でも、私は殺してなんかありませんから!!」


「それは、わかってますから」

私がそう言うと、晴は えっ?! という顔で私を見た

「あ、梓…お前まさか犯人わかっちゃってる的な感じのやつ?!」


「んなわけないでしょ、あったま悪…」


「はあ?!んだよ、それ!!」


「すいませんでした、また後日お話を伺うことがあると思うのでその時はよろしくお願いします」


「はい」


「…いくよ、晴」


「おい、待てよ!!きちんと話してもらおうか!!お前は一体どこまで掴めてるんだ?!」


だるい

晴の悪いところはしつこすぎるところ
…って、もちろんもっとたくさんあるけどね

とりあえず…



「…知らん」




とだけ言っといた



「意味わかんねえ!!俺ら相棒だろ?!バディだろ?!親友だろ?!」



ちょっと待て…

なんか増えてるぞ、おいヾ(- -;)


「あのさ…」


「なに?話してくれんの?やったー!!」


「教えてあげるけど、1つ条件がある…それが聞けるんだったら教えてもいいよ」


「当たり前だろ!!んで、なに?」


「お願いだから私にこれ以上つきまとわないで相棒だなんて言わないでそんななった覚えないしあんたはいつもいつもうるさいから黙って息だけしとけしつこすぎるのも嫌だからッッ!!」

…ハー、ハー、ハー…

息切れしそうだった


「1つじゃねえじゃん」


「1つの文にまとめたでしょ」


「つきまとった覚えもない!!」


「そりゃ、加害者は自覚なしだよね」


「うぜえぞ!!」


「じゃあどっかいけ」


「行かない!!」


「…は?」


「俺は梓から離れない!!」


お前は私の彼氏かッッ!!っての…


「…」


「お前、俺にばっかつめてえじゃん」


「そうだっけ?」

そう流しながら次の場所まで早歩きしてる…これって私が晴から逃げてることになるのかな??


「桜子に優しいのはわかる!!けど、将生に優しくして俺に優しくしないなんて不平等すぎる!!」


「…なに??優しくして欲しいわけ??じゃあしてあげよっか。…え、大丈夫ー??頭のネジどっかに落としたのかなー??」


「げ…いや、そういう意味じゃなくて…」


「僕ー、もうおうち帰った方が良さそうだねー!!」


「やめろってー!!」


「お姉ちゃんと一緒帰るー?あ、でもお姉ちゃん今からお仕事だから…」


「あーー!!!もう!!!わかったから!!優しくしなくていい!!」


「うん」


「とにかく!!早く行こう!!」


「その前に…私警視庁もどんなきゃ」


「なんで?」


「なんとなーく」


「まじかよ!!なんとなくとか!!」


うそ。

なんとなくなわけないでしょ

…過去の捜査記録みたいしね

お兄ちゃんの事ものってるはず
そして、仲道千鶴さんたちのことも…

そういえば、田口警部なんで仲道千鶴さんの名前言ったときあんな必死に『やめろ!!』なんて言ったのかなー

ま、別にいいのかな…



「…で、なんであんたも来てるわけ?」


「なんでって…梓を一人にしちゃダメじゃんか」


「なんで?」


「襲われたら危ないだろ??」


「襲われるとは限らない」


「襲われないとは限らない」


「なんで、そういいきれるの?」


「え、なにが?!」


「私が襲われるって感じで言ってるじゃん」


「だって今回の事件と五年前の刑事連続殺人事件、繋がってるじゃん。だから、俺ら新人刑事も油断は禁物だってこと」


「…繋がってること知ってるの??」


「おう!!親父がさ、なんか言ってたから!!」


…!?!?

ゾッてした。

素直に怖かった

なんで、晴が知ってるのか…一番それが怖かった

「どうやって…知ったの??」


「どうやってって…1階で物音聞こえて2階から降りていったら声を潜めて電話かなんかで喋ってたのを偶然聞いたから!!」



殺人においてどんな小さいミスもおこさないあの刑事副部長…が…
息子に事件が繋がってることを簡単に聞かれる??
それも、こんなバカ息子に…?!
声を潜めてだとしても、わざと晴に聞かせたってことだろう
だとしたら…


だとしたら、刑事副部長ならわかってるはずだ

晴が私にこのことをいう事も、想定内だろう…


「やばい」


「え??」


「田口警部がやばい!!」


「警部が?!」