あぁ…俺…
なんでこんなに不愉快になってんだろう?
胸がえぐられるように激しく痛む
俺はようやく気づいたんだ
彼女と一緒にいられなくなるなんてイヤだ
失って初めて本当の価値がわかるなんて…
ようやく実感できた
認めたくない
一緒に暮らせればそれでいいと
ただひたすら望み続けてきた
…なのに
これが恋だってことに気づいた瞬間に
俺は彼女を失ってしまっていたんだ
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父親の会社で仕事をしているアラン
愛里に早く会いたくて、家に帰った
執事から、婚約者が来て、愛里に出て行くように言ったことを聞いた。親が勝手に決めた婚約者…
愛里は、出て行ってしまっていたんだ。
一緒に暮らせればそれでいいと、ただひたすら望み続けてきたのに、いなくなってしまった。
今までの人生からみればわずかな時間
それでも…
人生を変えた輝ける日々だった
もう戻ることのできない日々
誰が許さなくても
飛び込んでいかずにいられない
不安にさせたくない
だから俺は…
もう逃げてなんかいられない
こんな俺にもできることは…
自分なりの責任の取り方をする
俺には彼女が必要だったのに
彼女がいなくなったら
俺はどうやって生きていけばいいんだ?
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愛里がいなくなった部屋が広く感じられるようになっていって、何をしても隙間が埋まらなくて…
離れてしまうまでその価値がわからないなんて…ズルズルと堕落していくばかりだ
一目惚れしたなんて、ドラマチックなものじゃない。少しずつ少しずつ俺の心を浸食してきたんだ。
愛里がいなくなったら、夜も眠れなくなってしまう。思い知ったよ。
婚約を破棄にして、父親の会社もやめて、家を出た。両親も、会社も、家も何もいらない。全てを捨てて、愛里を探しにいく。
うまくいかないことばかり
泣きそうになる
でもね…
一度だけの人生
好きなことやって
好きなように生きて
笑っていなくちゃ損
自分探しの旅が始まる
あきらめないよ
夢も希望も…
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安いホテルに泊まりながら、家と仕事を探し始める愛里
こんなに頑張ってるのに、成果がないなんて、泣きたくなる
でも、嘆いても、何も変わらないよね
頑張れば、どんな不可能なことも、可能になる気がした。だから、こんなところであきらめない。夢も希望も…あきらめない
もう二度と大切な人を失わないために
だから…あきらめない
今まで1人で苦しませてごめんな…
あとは任せておけ
俺の心の中
キミのことばかり
これじゃ…まるで…
身体の半分がなくなったよう
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愛里がいてくれたから、俺には得られた笑顔があった。凍りついた心を溶かしてくれた。
だから、俺が愛里を笑顔にしなくちゃ
1人で、泣いてるんじゃないか、心配
どこに行ったんだよ…
消えていく
あなたと私の幸せだった日々
そばにいてくれてありがとう
たとえ
その人生の中に
私がいなかったとしても
幸せになってほしいから
これからのことを考える
立ち止まったら
そこから動けなくなるから
こんなところで立ち止まってらんない
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あの家で過ごした幸せだった日々
心が折れて、戻りたい…気持ちもあるけど
戻ったって何も変わりはしない
アランのこれからの人生の中に私がいなかったとしても、幸せになってほしいから、後戻りはしない
私、この先どうしたらいいの?もう、日本に帰るしかないの?フランスにきてからの日々が全て無駄になってしまうのだろうか?
心がズキズキと激しく痛む
…今、日本に帰ったら、もう二度とフランスで働くなんてことはできなくなる。もうここであきらめるしかないの?
勇気を出してフランスまできたのに…
ううん、こんなところで立ち止まってらんない
やっと見つけた
もう離さないよ
彼女の手を掴む
彼女の手を手のひらで包み込む
彼女の体温を感じ
なぜか少しドキリとする
彼女は恥ずかしげに頬を染める
キミの中の俺は…もう過去になった?
何も伝えないまま…
もう迷惑に思われてもいい
でも…
このまま伝えずに後悔するなんてヤダ
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きっと、どこかのホテルにいると思い、ホテルに連絡しまくった。やっと見つけた…
出かけていたので、帰ってくるのを待った。
夕方帰ってきた愛里
愛里の手を掴む。
「愛里、探したよ。勝手に出て行くなよ」
「でも…もう一緒にいられないよ」
「あれは親が勝手に決めた婚約者だ。」
「でも…」
「婚約は解消してきたし、会社もやめて、家も出てきた。俺にはもう何もない。それでも、一緒にいてくれる?」
「私で…いいの?」
「愛里が必要なんだ。他には何もいらない。愛里の本当の気持ち、ちゃんと教えて」
「こんな私でも、一緒にいていいですか?」
「これからもずーっと一緒にいよう」
まっすぐに見つめられて、鼓動がどんどん速くなる。俺は愛里の瞳を見つめ返しながら思う
もう二度と離さない。愛里の腰を強く引き寄せて、愛里の身体を抱きしめる。リアルに感じてしまう。愛里の身体の感触、ふわりとくすぐってくるシャンプーの香り。あぁ…これは現実なんだ
身体の奥深くから湧き上がってくる愛おしさ
愛里がいてくれる…腕にほんのりと残る匂いと体温…幸せを生まれて初めて知ったんだ
小さなアパートで、2人だけの生活が始まる
何もうまくいかなくて
泣きそうになる日々
あの時のように
また…あなたが…
救い出してくれた
これからも傷ついたり
色々するんだろうけど
あなたを信じて歩いていこう
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仕事も家も決まらず、泣きそうになりながらホテルに帰ってきた愛里
アランがいてびっくりした。アランの手が私の手を握りしめた。心臓がいきなり跳ね上がった
まるでヒーローのように、またアランが助けてくれた。
私達は、2人でゆっくりと歩き出す
「アラン、、今…幸せ?」
「世界中の誰よりも幸せだよ」
強く抱きしめられて、心臓が破裂してしまいそう。
ようやく叶った日常
平穏な日々
2人とも相変わらずで
穏やかな日々は変わることはなかった
これからはキミと
ずっと…
キミと2人で
キミの手を離さない
ずっと…ずーっと…
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愛里と一緒に過ごす日々
今までに感じたことがない安らぎ
これからも、ずっと一緒にいて…
2人の関係は良好、何もかもうまくいってるけど、内心…とても焦ってはいたんだ。こんな俺に愛里が愛想をつかしたら…?
愛里がいなくなった…あの光景を思い出すだけで、心が痛くなる。もうあんな想いはしたくない
「よかったぁ…あなたに会えて」
愛里は、ニコッとかわいい笑顔で微笑む
だとしたら嬉しい。
ヤバイ、嬉しすぎて泣きそう。もう絶対に離さない。なんでそんなかわいいこと言うんだよ。
ふわりとあたたかくて、かわいい笑顔。守りたくなる素直で優しい…俺の心にスルリと入り込んでくるんだ…
私のことなのに
自分のことのように考えてくれる
優しいあなた
ふわふわと穏やかな時間
ほんのひとときそばにいられたら
私のことは関係ない
あなたはどうしたいの?
どうなりたいの?
あなたが幸せなら
それだけでいいから
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いつも、私のことを考えてくれる優しいアラン
迷惑ばかりかけて、心苦しい。一緒にいて、穏やかな時間を過ごしていても、ずっと続くわけはないと、どこかあきらめている愛里
アランの父親の代理人…の人が、アランは跡取りだから、アランと別れてほしいと…
別れるって…付き合ってるわけじゃないことを伝えると、出て行ってほしいと…
やっぱり迷惑かけていたんだね。
夜、アランが帰ってくる前に家を出た。また行くあてもなかったけど…ママの友達のカトリーヌに相談した。結局、またカトリーヌの家に行くことに…はならなくて、カトリーヌのおばあちゃんの家に行くことになった。