出会う前のキミのこと
本当は全部知っていたい

キミが前に付き合ってたヤツ
普通に考えていないわけない

ふいに襲ってきた寂しさ
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愛里の過去が気になってしかたがない
過去のことって、わかってるけど、気になる。わかってても、ムカつくもんはしかたねーだろ

彼の瞳が私をまっすぐ見つめてくる
その視線に心臓まで射抜かれた気がして
私は思わず目を伏せる

私は鼓動がどんどん速くなるのを感じながら

まるで恋する乙女のように
ドキドキがおさまらない
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どうしたんだろう私…
あの笑顔を見た日から、なんだか変
どうしちゃったんだろう?最近、私、すごく変かもしれない

なんだか恥ずかしくて、最近はまともに目をあわせることすらできない。まるで恋する乙女のように…私は1人で赤くなる

彼と似合うわけないって、わかってるのに、何考えてるの…私は…

だけど、私のドキドキはおさまらない…

あなたが幸せでありさえすれば
私はそれでいいんだから

私に幸せをくれた
私はいつももらってばかりだった

私だってあなたに幸せになってほしいのに
何もできなかった

なんでこんなにも寂しくなるの?
いつまでも一緒にいられないって
わかっていたのに
心の底では一緒にいたいって
そんなことを願ってたのかな?

初めからわかっていたのに
そのつもりで毎日を過ごしたのに

出て行くことを決めた
もう一度会ったら
もう出ていけなくなるって思ったから
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アランは、仕事に出かけていた
誰かきたみたい。
色気むんむんの女性。普通の男なら、きっと夢中になるような綺麗な人

私に気づいて、執事にアランのモデルをしていることを聞いたみたい
彼女の目は怒りを含んで爛々と光りながら、私をみつめ、威嚇するように睨んだ。ギラリと光る瞳…

「なんで、こんな子と一緒にいるの?この私を放っておいて、こんな子と一緒に住んでいるの?」

まるで私のせいでアランと会えなくなったとでも言っているかのよう…

「出て行きなさい…ここは、あなたがいる場所じゃないわ」

執事の話ては、彼女はアランの両親が決めた婚約者だった。婚約者がいるなんて知らなかった

私は、もう彼と一緒にいることはできない。モデルの給料は予想以上に高額だったから、自分で部屋を借りられないわけじゃない。

いつまでも一緒に暮らせるわけがなくて…

愛里は、荷物をまとめ、執事に出て行くことを告げて、家を出た


あぁ…俺…
なんでこんなに不愉快になってんだろう?

胸がえぐられるように激しく痛む

俺はようやく気づいたんだ
彼女と一緒にいられなくなるなんてイヤだ

失って初めて本当の価値がわかるなんて…
ようやく実感できた

認めたくない

一緒に暮らせればそれでいいと
ただひたすら望み続けてきた
…なのに
これが恋だってことに気づいた瞬間に
俺は彼女を失ってしまっていたんだ
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父親の会社で仕事をしているアラン

愛里に早く会いたくて、家に帰った

執事から、婚約者が来て、愛里に出て行くように言ったことを聞いた。親が勝手に決めた婚約者…

愛里は、出て行ってしまっていたんだ。

一緒に暮らせればそれでいいと、ただひたすら望み続けてきたのに、いなくなってしまった。

今までの人生からみればわずかな時間
それでも…
人生を変えた輝ける日々だった
もう戻ることのできない日々

誰が許さなくても
飛び込んでいかずにいられない

不安にさせたくない
だから俺は…
もう逃げてなんかいられない
こんな俺にもできることは…
自分なりの責任の取り方をする

俺には彼女が必要だったのに
彼女がいなくなったら
俺はどうやって生きていけばいいんだ?
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愛里がいなくなった部屋が広く感じられるようになっていって、何をしても隙間が埋まらなくて…
離れてしまうまでその価値がわからないなんて…ズルズルと堕落していくばかりだ

一目惚れしたなんて、ドラマチックなものじゃない。少しずつ少しずつ俺の心を浸食してきたんだ。

愛里がいなくなったら、夜も眠れなくなってしまう。思い知ったよ。

婚約を破棄にして、父親の会社もやめて、家を出た。両親も、会社も、家も何もいらない。全てを捨てて、愛里を探しにいく。





うまくいかないことばかり
泣きそうになる

でもね…
一度だけの人生
好きなことやって
好きなように生きて
笑っていなくちゃ損

自分探しの旅が始まる

あきらめないよ
夢も希望も…
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安いホテルに泊まりながら、家と仕事を探し始める愛里

こんなに頑張ってるのに、成果がないなんて、泣きたくなる

でも、嘆いても、何も変わらないよね
頑張れば、どんな不可能なことも、可能になる気がした。だから、こんなところであきらめない。夢も希望も…あきらめない

もう二度と大切な人を失わないために
だから…あきらめない
今まで1人で苦しませてごめんな…
あとは任せておけ

俺の心の中
キミのことばかり
これじゃ…まるで…
身体の半分がなくなったよう
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愛里がいてくれたから、俺には得られた笑顔があった。凍りついた心を溶かしてくれた。

だから、俺が愛里を笑顔にしなくちゃ

1人で、泣いてるんじゃないか、心配

どこに行ったんだよ…



消えていく
あなたと私の幸せだった日々

そばにいてくれてありがとう

たとえ
その人生の中に
私がいなかったとしても
幸せになってほしいから

これからのことを考える
立ち止まったら
そこから動けなくなるから
こんなところで立ち止まってらんない
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あの家で過ごした幸せだった日々
心が折れて、戻りたい…気持ちもあるけど
戻ったって何も変わりはしない

アランのこれからの人生の中に私がいなかったとしても、幸せになってほしいから、後戻りはしない

私、この先どうしたらいいの?もう、日本に帰るしかないの?フランスにきてからの日々が全て無駄になってしまうのだろうか?
心がズキズキと激しく痛む

…今、日本に帰ったら、もう二度とフランスで働くなんてことはできなくなる。もうここであきらめるしかないの?

勇気を出してフランスまできたのに…

ううん、こんなところで立ち止まってらんない

やっと見つけた
もう離さないよ

彼女の手を掴む
彼女の手を手のひらで包み込む

彼女の体温を感じ
なぜか少しドキリとする

彼女は恥ずかしげに頬を染める

キミの中の俺は…もう過去になった?
何も伝えないまま…
もう迷惑に思われてもいい
でも…
このまま伝えずに後悔するなんてヤダ
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きっと、どこかのホテルにいると思い、ホテルに連絡しまくった。やっと見つけた…
出かけていたので、帰ってくるのを待った。
夕方帰ってきた愛里

愛里の手を掴む。
「愛里、探したよ。勝手に出て行くなよ」
「でも…もう一緒にいられないよ」
「あれは親が勝手に決めた婚約者だ。」
「でも…」
「婚約は解消してきたし、会社もやめて、家も出てきた。俺にはもう何もない。それでも、一緒にいてくれる?」
「私で…いいの?」
「愛里が必要なんだ。他には何もいらない。愛里の本当の気持ち、ちゃんと教えて」
「こんな私でも、一緒にいていいですか?」
「これからもずーっと一緒にいよう」
まっすぐに見つめられて、鼓動がどんどん速くなる。俺は愛里の瞳を見つめ返しながら思う
もう二度と離さない。愛里の腰を強く引き寄せて、愛里の身体を抱きしめる。リアルに感じてしまう。愛里の身体の感触、ふわりとくすぐってくるシャンプーの香り。あぁ…これは現実なんだ

身体の奥深くから湧き上がってくる愛おしさ
愛里がいてくれる…腕にほんのりと残る匂いと体温…幸せを生まれて初めて知ったんだ

小さなアパートで、2人だけの生活が始まる