本当は…
どういう気持ちなのか
なんて考えてなかった
自分のことだけだった

なんかやだな
自分の立場を
自覚させられた
気がする

全部当たり前のこと
何も間違ってない

でも…やっとわかった

幸せ過ぎて夢みたい
なんて幸せなんだろう
どうか
この幸せが
ずっとずっと
続きますように

みんなの優しさで続いてただけ
本当は迷惑だったんだ
一緒にいたら不幸になるなら
いつまでも頼ってちゃダメなんだ
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家族で過ごす幸せな時間
ずっと続いてほしい

詩音のスキャンダル…
病院に毎日通う少女
まだ続いていたんだ…

ん…でも違った
毎日通う少女って、私のことじゃなかったんだね。ドラマで共演した人だったんだ

それなのに、幸せな時間を失うのが怖くて、ここにずっといたい、離れていかないで…って言っていたんだね
テレビに映るアイドルのかわいい子が言っていた「もっと会いたいのに、会えないって…彼が言ってる」って…それは、私のせい?

自分が幸せだからって、周りの人が幸せを感じてるわけじゃない
私…邪魔だったんだ…

もし、私が原因だとしたら
私にできることは…

このまま、ここにいちゃダメなんだ

最初からここにこなければよかった

「一緒にいたら不幸になる。迷惑かけて、ごめんね。何もわかってなくてごめんね」

行くところもないから、公園のベンチに座っていた









一体どこへ…っ

必ず見つけ出す

出会いから今までのこと
ようやく近づいたのに
お前がいなくなった

こんなに胸が苦しい

お前を好きなだけなのに
どうにもできない

お前がいなくなったら
俺は…
これからどうすればいいんだ…

きっと地の果てだって
きっとどこにいったって
見つけてみせる

俺が守るから
俺がお前の全部守るから
俺と一緒にいればいいんだ
俺は離れる気なんかねーからな

何があっても
これからもずっと一緒だから
ずーっと一緒だから

笑顔でいられる場所は
いつもお前の隣だけ
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家に帰った詩音
いつもだったら、愛里がパタパタと出迎えてくれるのに、こなかった
忙しい…のかなと、思っていた

リビングのテーブルに、手紙と愛里にプレゼントした時計があった
まさか…まさか…あの時の不安がよぎる

「一緒にいたら不幸になる。迷惑かけて、ごめんね」
何のことかわからなかった

家政婦がやってきて、「詩音様、彼女ができたんですね。」何言ってんだ…
「彼女なんてできてないし」「ワイドショーで言ってましたよ」仕事の時、周りがざわついてたのは、このことか…

「愛里はなんでいないの?」「奥様のところに行くと言ってましたよ」なんだ…母さんのところか…

母さんに電話したけど、帰ってなかった…
どこに行ったんだ…

一緒にいたら不幸になる…愛里がいなくなること以上に不幸なことなんてない。
必ず見つけてみせる

携帯のGPS機能があってよかった、公園のベンチに座ってる愛里を見つけた

「勝手に出て行くなよ。愛里は愛里のままで俺と一緒にいればいいんだ。愛里と離れる気なんかねーからな。あんなテレビの言葉なんかよりも、俺の言葉を信じてくれ」
「迷惑なんじゃないの?」
「そんなこと思ったこともないよ。何があってもこれからもずっと一緒にいるから、ずーっといるから…」
ポロポロと泣いてる愛里
ギュッと抱きしめた
…俺が守る
…俺が愛里の全部守るから
泣かないで

「うれしいよ」詩音を見上げ、微笑んだ
…こんな時なのに、かわいいなーって思ってしまう

「ずーっと一緒にいてね」
「ずーっと一緒だよ」
ますますギュッと抱きしめた
笑顔でいられる場所は、いつも愛里の隣だけ。




あっけないもんなんだな
終わる時って…

いつも誰かに頼って
いつも誰かに甘えて
迷惑かけてた

これからは1人なんだ

まだまだこれからだ…
何度でも前に進めるはず

いろんな人の優しさが
背中を押してくれる

頑張ればなんとかなるよね

でも…
1人じゃなかった
ギュッと抱きしめられ
あったかくて安心できる

私の居場所は…
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家を出てきたけど、行くところもない
1人になると、感じる
今まで、みんなに甘えてたんだな…って
頑張れば、なんとかなるよね

そう思っても、心細かった
抱きしめられて、優しい言葉を聞いて、涙が止まらない










子供のように眠っている
可愛い寝顔を見下ろして

こんなに無防備に眠ってしまって
男として意識されてない…って
胸が甘く痛んだ

今まで感じたことのないような
愛おしさ

俺は…
こんなにも愛してしまっていたんだ
もう止めることなんてできない
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疲れたのか、ソファーで子供のように眠ってしまっている愛里。可愛い寝顔を見下ろして…
さくらんぼ色の唇が小さく開いて、寝息をたてている

風邪ひいたら困るな、「起きて、こんなところで寝たら風邪をひく」「…ここで寝る…」声の甘さが、心にさざ波を立てる

…ああ、なんてかわいいんだろう
本当に子供のように無邪気な寝顔
さくらんぼ色の唇

隣に座ってみた
寝ぼけたように、俺の胸に頬を擦り寄せる
「…よかった…しーちゃんがいてくれて…」
呆然とする

今まで一度も感じたことのないような、甘く、胸が痛んだ
愛おしさ…
甘く、切ない気持ち
速い鼓動…こんなにもドキドキしてる

俺は震えるため息をつき…
…俺は…
…こんなにも愛里を愛してしまっていたんだ…
…もう、この気持ちを止めることなんてできない…
俺の鼓動がどんどん速くなる
胸がキュッと苦しくなる
痛くて、甘い想い

眠る愛里の唇に優しく唇を重ねた
…ああ、どうしよう、オレ…
愛おしさに胸が熱くなり…
もう一度、そっと触れるように唇を重ねた




彼女のためなら
何でもする

こいつが
いらないんだよな

邪魔なものは
排除すればいい
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大好きなアイドル
彼女のためなら、何でもできる

詩音と付き合っていると聞かされ、ショックを受けた
恋人の詩音と毎日会っていたいのに、この女が邪魔をするの、こいつを消して…

家から1人で出てきた
デパートで買い物して、階段を下りていた
背中を押して、突き落とした

ちょっと怪我するくらいだろうと、思っていた

それなのに、、様子がおかしくないか…
ちょっと不安になって、駆け下りる
「あなた、大丈夫?」と、声をかけられていた
「お腹が…」と…そのまま気を失っている

救急車がきたり、大騒ぎになっていた
店員に聞かれ、階段でぶつかって落ちたと話した。運ばれた病院を聞くと、産婦人科…

病院に行くと、手術中…
あの子、妊娠してたんだ…

詩音と、詩音の事務所の社長、後は誰だろう

「なんで、あの子はいつもこんなつらい思いするの…」と、泣いている
母親だろう…か
「こんなことなら、あなたのところに行かせなかったのに…」
また違う男がきた。こいつもかっこいいヤツだな…
「愛里は…?」
「今、手術中よ。危険な状態なの」
と、泣いている

扉が開いて、医者が出てきた
「手は尽くしましたが、赤ちゃんは…流産してしまいました。」

こんなことになるなんて…

彼女に連絡したら、喜んでる
この子が傷ついてるのを…うれしいって思っているんだ
「私の詩音に邪魔するからよ…」



一度も会えなかった
もう決して会えない

引き裂かれる思い

受け入れて
生きていかなければ…

ごめんね
助けられなくて

窓から見上げた空
夕陽で真っ赤だった
この風景…を忘れない
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デパートで買い物をしていた愛里
階段を下りている時、誰かにぶつかって、階段から落ちて、お腹が痛かった

目が覚めたら、病室
お腹がペッタンコになっていた
「赤ちゃん…」
いるはずのないママがいた
「流産してしまったの…」
そう…涙が溢れてきた

一度も会えなかった…
守ってあげられなくてごめんね…

パパとしーちゃん、お兄ちゃんとハルくん、おじいちゃん…
みんながいてくれた

知らない人がいた…誰…?
「階段でぶつかって…」
心配して、ここまできてくれたんだ
「あなたのせいじゃありません。気にしないでください」微笑んだ

「みんな…心配しないで、大丈夫だから」
みんなが帰ってから、1人になってから、泣いた。


キミとの繋がりは…
あっけなく消えてしまった

なんで…
あの時別れてしまったんだろう

なんで…
無理やりにでも連れ帰らなかったんだろう

なんで…
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愛里との繋がり…赤ちゃんが…
なんでこんなことに…

携帯に愛里の兄から連絡がきた
「愛里が階段から落ちて、救急車で運ばれた」
病院の名前を聞いて、急いでかけつけた
愛里の母親が泣いている…

流産してしまった…
別れてしまったけど、赤ちゃんがいるから、まだ繋がってると信じていた
まだやり直せると信じていた

麻酔がきれて、目を覚ます愛里
流産してしまったことを聞いて…泣いていた
かける言葉すら見つからなかった

辛いはずなのに
笑顔を見せる

いつでも俺を頼れよ

お前の笑顔を見ると
俺はますますドキドキする
思わずキュンとなる

心配だから
俺のそばを離れるな
いつでもお前を守るから

ううん…違う…
俺がお前がそばにいたいんだ
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昨日階段から落ちて、流産してしまった愛里
辛いはずなのに、笑顔を見せる

病室に入ると
「しーちゃん、まだリハビリ中なのに、ごめんね」そんなこと心配しなくてもいいのに…
「気にするなよ」と、頭をポンポンとなでた
時間がある時は、ずっといるよ…

昨日、一緒に行けばこんなことにならなかったのに…これからは、俺のそばを離れるな
いつでも、愛里を守るから

ううん…違う
俺がお前のそばにいたいんだ



こんなの
知りたくなかったよ

隠していたんだ
心の醜い部分

あぁ…
なんてきれいな…

まぶしいくらいの優しさ

あの子がくれた大切なものが
心の中で瞬き始めた
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ずっと好きだった彼女
彼女のためなら、何でもできる
彼女の言葉は全て信じていた

彼女の楽屋から話し声が聞こえる
誰と話しているのかはわからなかったけど
「あの子がいなければ、詩音は私のもとに戻ってきてくれる」「ねー、あんたのフアンの男、あの子怪我させたんじゃないの?」「何それ、知らないわよ。あの人が勝手にやったんだもん、私のせいじゃないわよ」「そうかな?あの子がけがして喜んでるくせに」「な…何よ…悪い?邪魔なやつ…なんだから…」
綺麗な顔の下の醜い心…
「詩音と付き合ってないでしょ…」「あら、あの子がいなければ私と毎日会ってくれる」

俺は何やってたんだろう、ただの都合のいい男だったんだ

「ここへは、二度と来ない」「別にいいわよ。あんたのかわりなんて、いくらでもいるんだから」

もう一度謝ろうと、あの子の病院に行った
誰もいない病室で、1人…泣いていた
どうしようか、迷っていたら、詩音がやってきた

途切れ途切れ、言葉が聞こえる
「また泣いていたのか…」「…うん…」
「昨日、一緒に出かけてたら、こんなことにならなかったのに、ごめんな…」「しーちゃんのせいじゃないよ。」「ぶつかったヤツのせいだろ」「違う、たまたまぶつかっただけなんだから、あの人のせいじゃないよ。誰のせいでもない」
わざと突き落としたのに…あの子は、あんなにも優しいんだ
何であんなことしてしまったんだろう

あの子がくれた大切なものが…心の中で瞬き始めた

馬鹿だな…俺…本当に馬鹿だ