『よーい…』
パンッ!!!
ピストル音で一斉に選手が走り始める。
てかピストル役が荒木先生だったなんて!
聞いてない!
おかげで気が紛れてスタートからなんか好調だけどさ…!
私は最初に飛ばすタイプ。
中盤は順位に余裕があったらゆっくりと体力貯めて、最後に追い上げる作戦。
ってことで今の順位は暫定1位!
きっと後半に強い人もいるだろうからなぁ
油断しないようにしないと!
『女子の長距離走はトラック5周です。みなさん応援よろしくお願いします!』
実況混じりのアナウンスが聞こえる。
トラックの半分まで来ると、観客席の咲羽たちが手を振って応援してくれていた。
「穂花ー!ファイトーッ!」
「ゴールで待ってるからな!」
「ありがとー!」
まだ余裕のある私は手を振り返す。
まあ振り返したのは賢志意外だけど!
そして気になって仕方がないのがピストル役を終えた荒木先生…。
なにのんきにあくびなんかしてるのよ!
持ってるピストルで打ってあげたいくらいむかつく!
とか心の中で文句言ってたら目が合ってしまった。
あ、見てたのバレた…
…ん?
なにか言ってる?
先生が口を動かしているがなかなか読み取れない。
えーと…
“ば"
“か"
…ばか?
ばかって言ってるのあの人?
こっちは必死こいて走ってるのに?
む か つ く ! !
体力を減らさないように精一杯睨みつけてやりました。