聞き慣れ始めた声に反応して、思い切り振り返る。
目の前には開会式ぶりの顔が。
「あ、らき先生!」
「なんだよその不可思議な間は。ラキっていう外人の名前みたいになってるんだけど」
「それは、荒木先生が脅かしたから…!」
「いやいや、声かけただけだからな?勝手に驚いてるの上原だから」
「というか!なんでこんなところにいるんですか」
会えた嬉しさやにやけを隠すために、ついきつい態度を取ってしまう。
「なんでって言われてもなぁ…たまたま?」
「は、はぁ…」
「そういうお前は誰探してたの?」
「え!?別に、誰も探してなんか」
「あーんなにキョロキョロ回り見てたのに」
「ただ、緊張して挙動不審になったっていうか…」
「ああ、永井か」
「誰があんなやつなんか!」
「じゃあ…俺?」
「はっ!?」
思いがけない言葉に本当に挙動不審になってしまう。
「ほーう図星か」
「そ、そんなわけないじゃないですか!自意識過剰もほどほどにしてください!」
「言い方ひどいな!そんなにツンケンしなくてもさぁ」
「こういう性格なんです!」
「じゃあそんな上原に一言」
「はい?」
次の瞬間、視界から先生が消えた。
そして真後ろに先生が。
「俺はお前を探してた」
普段とは違う、少し低めの耳元にかかる声。
ポニーテールをしている私の首元は無防備で、先生の髪の毛がくすぐったく感じた。