扉の前で深呼吸。





よし!!





トントンッ






「はーいどうぞ」


「し、失礼します!」




うう、先生の声聞いた瞬間ど緊張だよ!



もうどーにでもなれ!!






ガラガラッ






「上原か、そこ座って」


「あ、はい」




教室に入ってみると机と机の正面を合わせただけの簡単なつくり。



けど私には先生との距離がとても近く感じてしまった。




「上原も就職希望で間違いないな?」


「はい、そうです」


「なんで就職にしようと思ったんだ?」




適当ですなんて言えない!!




「お、親孝行をしたいと思って」


「それはいい心がけだな!」




お、これはうまくかわせるかも…!?




「けど就職だけが親孝行ってわけじゃないだろ?」


「え?」




何が言いたいのかな?




「就職なんてな、社会に捕らわれて自分の時間なんてまったくないんだぞ、それで苦しめられるお前をみて親御さんはどう思う」




この人ほんとに教師なのかな…




「それは多分、悲しくなるんじゃ」


「そういうことだ!それでも上原は本当に就職するのか」


「えーっと…」




先生はなに、私に就職させたくないってことなのかな…