「大地くん、お久しぶりです」



ふと後ろから声をかけられ振り替えると、そこには懐かしい人物がたっていた。






「明日香…!元気だったか?!」




会えた嬉しさに声が飛び上がると、明日香は口元を緩めた。



「貴方は相変わらず元気そうですね…ふふ」



相変わらず、といわれるほど若さを取り戻したつもりはなかったけれど。


ただ、明日香に会いたかったのは本当だ。


明日香が外国にいったときいてから、ずっとまともに連絡もとっていなかったから、多少心配だったのだ。



なにもいわず、なにもいえず、旅立ってしまったから。




「大地!よう!」




するとがっと首を捕まれ、思わずバランスを崩しそうになる。


今日は慣れない革靴をおろしてきたから、うまく足が動かない。


「だ、誰…おお!北本!」


「ひさしぶり!」



にっと笑う北本と、思わず嬉しさが込み上げて、拳と拳をぶつけ合う。


こいつは本当に相も変わらずで、あの頃にスーツを着せたようだった。



「お前ら!ひさしぶり!」



するとそこには続々と懐かしい人が集まってきて、招待された時間になると、もはや静かな空間などどこにもなかった。





ひさしぶり、その声がこだまする。








ーーーああ、この感じ、ひさしぶりだ。





ーーーあれから、何年たったのだろうか。






俺たちは足を揃えて、『橘南高校同窓会様』の看板の横を通りすぎていった。