「稲葉さん、こっちです!」




人が行き交うなかで、手を大きくふるももかを視界にとらえる。


早足でそこへ辿り着き、彼女のもとへと体を向ける。




「ももかちゃん、久しぶり」



「お久しぶりです!」




向日葵のように笑う彼女の笑顔は、あの頃とまったく変わっていなかった。


ただやっぱり顔つきはどこか違っていて、丸みを帯びていたはずの目は凛とした女性の瞳へと変わり、口元もどこか色っぽさを帯びていた。


ーーーよかった。あれから、進めたんだな…。





自分で思うのもおかしな話だけれど、思わずにはいられなかった。