「……う、うん」

「じゃあ、てっとりばやくきれいな格好してきて。今週の土曜日、場所はまたメールで知らせるから。いいね? むつみ」

「う……ん……」

ガチャっと電話が切れた。

どんなことなんだろう。

紹介した人って誰なんだろう。

大和が私の仕事の件で悩んでくれるなんて。

それでも、栗林さんから知らされた大和のあやしすぎる人脈も気になる。

もしかして、その人と合わせる気じゃないのか。

約束をしてしまった自分も悪いけれど、今の会社に恩はある。

もしかしたら、その人間とコンタクトをとれば、何がしらの情報を得ることもできそうだし、今の会社にいい風が吹くかもしれない。

リスクが高いかもしれないけど、まずは会って確かめてみようと思った。

ふと、所長を思い浮かべる。

所長に言ったからってどうにかなるというんだろうか。

助けてほしいって言える立場なのか。

ただの所長なのに。

それに、これ以上、心配も迷惑もかけたくない。

だから所長には秘密にしよう。

いろいろ考えた想いもすべて心に封印して。