ぐいっと喉を鳴らし、栗林さんは持っていた缶コーヒーを飲み干した。

「とにかく、大和には仕事でもプライベートでも気をつけろよ」

「はい」

それじゃ、行くわといってゴミ箱に缶を捨てると、自分のデスクに戻っていった。

私も缶コーヒーを飲み終え、帰ろうとしたところで渋めな声に呼び止められる。

「おお、森園」

半そでシャツで汗だくになりながら外から戻る駒形さんが来た。

「駒形さん」

「何で本社にいるんだ」

「書類を届けに」

「ああ、そうか」

駒形さんはポケットからハンカチを取り出し、額の汗をぬぐう。

不審に思われているのか、ずっと私の顔を見ていた。

「試作室の件、ですが……」

「五十嵐と北野から報告、受けてる」

ピンとした空気が張り巡らされ、私は駒形さんの言葉を待った。