ここじゃなんだから、と本社一階のロビーにあるソファに案内してもらった。

ちょっと待っててと言われ、座っていると入口に近いところに自販機があり、そこで栗林さんがコーヒーを買っておごってくれた。

「しけたツラしてんな。ほら、これ」

「ありがとうございます」

栗林さんは私の右隣に足を投げ出すように座り、缶コーヒーのプルタブを開け、ぐいっと飲んでいた。

「高砂さんがああだからな。おおっぴらに話せないけど。何で忍び込んだんだ」

「大和が……。でも結局は私が悪いんです」

「は? 何? 別れたんじゃないの?」

「そうなんですけど」

「じゃあ、その煮え切らないような態度は」

「想像通りです」

「あきれた。普通、好きな人がやれって言うからって、規定違反になりかねないこと、やるか?」