「高砂さん、お疲れ様です。北野副所長から預かってきました」

「ありがとう」

高砂さんは、ニコニコと笑顔で水色の封筒を受け取ってくれた。

「あの、ウチの営業所のことは……」

「え? 営業所のこと? 知らないけど。どうかしたの?」

「い、いいえ、何でも」

高砂さんが身を乗り出すしぐさをしたので、ごまかした。どうやら高砂さんの耳には届いてなかったらしい。

「よっ! 忍びの森園さん」

軽快な声で後ろから話してきたのは、栗林さんだった。

「冗談、冗談。麻衣から聞いたよ。やらかしたんだって?」

「え~、何?」

また高砂さんが割って入ってこようとしたので、栗林さんが私に目配せした。

「何でもないですから。油断するとすぐ入ってくるからなあ。高砂さん、さっきの資料、早めに処理しておいてくださいよ。未処理の箱に書類、貯まってるじゃないですか」

知りたかったなあとつぶやきながらしぶしぶ高砂さんは帰っていった。