「あやちゃん、この際だから言わせてもらっていいかな?」
「え。な、何ですか?改まって……」
あやちゃんの体が緊張のせいか強張った。
「僕ね、気に入らないの」
「え……」
眉を下げて、あやちゃんは寂しそうな子猫のような顔をした。
そんな顔で見つめないで~。
「あやちゃん、松井くんの事は下の名前で呼んでるのに……僕の事はいつまで経ってもさん付けじゃん」
そう。
これが非常に気に入らない。
余所余所しくて、余計に年齢に差があるのを感じる。
「そう言われましても……」
「後、敬語も嫌。結婚してる仲だよ?敬語、ヤダ」