根っこの治療をした後、下の前歯の治療に入った。
比較的小さめだから、痛みは出ない…はずなんだけど……。
「んっ…んんっ!!いやぁっ……」
ほんの少し削ったところで、夏依ちゃんは泣き出して僕の手をふり払おうとしてきた。
「ごめん…。痛かった、かな…?」
「い…いえ……。こ、怖くて……」
怖いかぁ…。
うーん、苦手な事を克服するのは難しいもんね。
「じゃあ今日は終わりにしようね。ただ、念の為進行止めのお薬を…」
と、言いかけたら夏依ちゃんは首を横に振った。
「も、もう少し…がんばり、ます……」
「偉い!けど、本当に無理はダメだよ~?」
「はい…」