「簡単にブロックされちゃったな」

 康平は、苦笑しながらボールを拾いにいった。

「君がフォームに集中してた証拠だよ。次はもう少し早く打ってみよっか。パスを貰った瞬間に、膝を曲げる感じでシュート体勢に入ってみて!」


 もう一度パスを受け取った康平がシュートを打つ。

 ボールは亜樹の頭上を越えていった。だがバックボードには当たったものの、リングには当たらずにコートへ勢いよく跳ね返る。

 リバウンド出来るシュートが打てなかったので、満足出来なかった康平だったが、亜樹は意外にも上機嫌になっていた。

「いい感じだよ! 繰り返し練習したら何とかなりそうね。……ボールは私が取ってくるから康平はシュートのイメージしててね!」



 シュート練習は何度も繰り返されたが、ボードからリングに当たったのは半分程度だった。

 康平は自嘲気味に呟く。

「上手くはいかないもんだな」

「そんな事ないよ。上出来上出来! ……またバドミントンの人達が来たみたいだから、もう終わりにしよ!」

 笑顔の亜樹は、康平の肩をポーンと弾むように叩いた。