「バスケの話に戻るけど、康平には、もう少し活躍して欲しいのよねぇ。……専属コーチとしてはね」

「ディフェンスが来ても、慌てなければいいんだよな」

「でも、簡単にはいかないでしょ!」

「ま、まぁな」

「康平は、いいフォームでシュートを打てるようになったんだけど、……私がディフェンスすると、フォームが崩れてんのよね」


 亜樹はしばらく思案していたが、再び口を開いた。

「康平、シュートを打つ時はフォームだけを意識してね! ボールは変な方向にいってもいいからさ」


 康平にパスを出そうとした亜樹だったが、動作を止めてもう一度念を押す。

「ボールはボードに当たんなくてもいいからね! 習ったフォームで打つ事だけに集中してみて」


 小さく頷いた康平へ、亜樹がパスを出す。

 ボールを貰った康平は、フォームを確認しながらシュートを打ったが、ボールはボードにも届かず、 亜樹のブロックに遮断されてしまっていた。