「何となく分かるような気はするけど」

「別に康平が悩む必要ないよ。さっきも言ったけど、私が勝手にやってる事だからね。……それに康平が『下手』って言ったメンバーは、今までバスケの練習をした事がないだけで、最近結構上達してるんだよ。もちろん君も含めてね」

「そうなんだ。……でも俺、他の三人に悪い事言ってたんかなぁ。……『下手』ってさぁ」

「別に本人の前で言った訳じゃないんでしょ! でも悪いと思ったら、これから言わなければいいのよ」

 今度は、言い終わった亜樹がクスリと笑った。

「俺、変な事言ったか?」

「何も変な事は言ってないわ。……ただ康平は、真面目なんだなって思っただけだよ」

「と、とりあえず練習の続きをしようぜ! 六時半になったら、また人が来るんだからさぁ」

「そうね! 真面目な康平君には、こっちもしっかり教えないとね。あ、悪いけどそこのボール頂戴!」

 照れている康平を見てもう一度小さく笑った亜樹だったが、ボールを貰った瞬間から彼女も真面目な顔になっていった。