そんなこんなで強引に部屋へ連れ込んだ。

しかし、未だ嫌いな男の世話になるのに抵抗があるのかなかなか部屋に入ろうとせず下を向く。

「寒いんだからさっさと入れ」

そう促すも、彼女の顔から困惑めいた表情は消えない。
そんな煮え切れない態度に焦れ、そこらに降ろしてくればお互い良かったのかもな、と心の中で毒づいた。

そうは思っても、実際に彼女をこの寒空の下放ることなんてできなくて、こうして連れて来てるんだ。
信用ないのは仕方がないが、ひとまずここで帰ると言われても困る。


そう思って促すように背中を押すと、その濡れた体の冷たさにびっくり。

一応車内でも暖房をガンガンにかけてきたのだが、また外に出たせいで一瞬にして冷えてしまったのだろう。


とりあえずその濡れた冷たい体をどうにかしようと、そのまま風呂場へ直行した。


「タオル、棚の使っていいから、今着替え持ってくる」

「……すいません」

彼女を脱衣所で待たせ、白いもこもこのルームウェアをクローゼットの片隅から引っ張り出してくる。
たまに来る女の子が家に置いている奴だった。


「これ来て」

彼女は一瞬それを見ると固まったが、とりあえず受け取った。
いかにも女子の好きそうなやつだが、こいつは苦手だろう。
そんな分かりやすい反応をみて思わず苦笑してしまう。


「あと洗面台に女物の化粧水あるだろ、使いたければ使っていいから」

そして化粧水もまたしかり、その子のものだ。


客用の布団をリビングに敷いていると、しばらくしておずおずと風呂場から出てきた。


「何、寒い?」

「い、いや……」

決して風呂上りだからという訳ではなく、別の意味でうっすらピンク色に染まった頬。