それでもこれが最後なのだからと歩み寄ろうとした卒業式、しかしそれは叶わなかった。
彼女を滅茶苦茶に傷つけた罰だろう。
俺はただ受け入れるしかない。
だけど、高校からの帰り道偶然彼女に出くわした。
彼女が綿毛を飛ばして見せた姿は、これが本当の別れなのだと、その姿を目に焼き付けた。
俺がやったことは、今の未結の婚約者と同じようなもんだ。
だから、あいつの気持ちを全く理解できないという訳じゃない。
だけど、だからこそもう未結の傷つく姿は見たくないんだよ。
「……へぇー、お前にもそんな思春期っぽいことがあったんだな」
「ありますよ、そりゃ」
1人つらつら語っていたが、先輩は酔っ払ってろくに聞いていないもんだと思っていた。
が、意外にもしっかり耳を傾けてくれていたようだ。
「しっかし、どうすんの。これから」
「どうするもこうするも、俺が介入していく余地ありませんよ」
「はー、お前はモテなれてるからな。そんな受け身でいたら、そこら辺の女ならまだしも、その幼馴染とやらは一生手に入んねぇぞ」
「…………」
「お前がいつまでもそんな曖昧にしてたら、傷つく人間だっているんだ。分かってんだろ?」
皆まで言わなくとも、先輩が言わんとしてることは十分に分かっている。
……栞のことを言いたいんだろう。
たまに笑顔を見せるようになって、表情も昔に比べたらとても豊かになった。
幼馴染の代わりでいい、といった彼女。
そんな彼女に俺は甘え過ぎていたのかもしれない。
少しでも未結以外の子へ好意が持てるよう彼女と会ったが、やっぱりダメだった。一緒にいる時、どうしてもその姿に未結を重ねてしまう。