『やっ、やだ、やめて……っ!そうちゃん!』

そう耳元で泣きわめきながら、俺を引き剥がそうと必死な未結。

嫌がって泣いて抵抗する未結に、俺の心は怖い程冷静だった。


『……そうちゃんは好きでもない子とでもできるの……っ?』


好きでもない子?

……笑わせるな。

俺がどれだけお前のことが好きか知らないくせに。


『……できるに決まってんじゃん。男って皆そんなもんだろ』


こうやって、口を開けば未結を傷つける言葉しか出てこない。
本音が言えない、好きだからしたいなんて。とてもじゃないけど、言えない。


『な、なんで、うちら幼馴染じゃん……っ。そうちゃんだったら他にいくらでも周りに可愛い女の子いるじゃん!』

『今したくなったんだからしょうがねぇだろ、諦めろって』

パーカーの裾から手を入れて体に直に触れると、体を硬直させ声を荒げる未結。


『や、やだっ、やだよ、やめて!そうちゃ…んんっ』

その口を自分の唇で塞いだ。

唇を離して未結の顔を見ると、未結は耳まで顔を赤くさせて、ぼろぼろ大粒の涙をこぼしていた。

そしてしゃくりあげながら、両手で顔を覆う。これだけ好きな相手を傷つけておきながら、どうして手を止めることができないのか。


『やだよ、こんなのやだ……私まだこうちゃんとはしてないの、初めてなの……っ』



そう言えば俺が情けをかけてやめてくれると思ったのか。

……だけど残念。
それを聞いて、心底ほっとしたんだ。

そっか、良かった。
まだ奪われてなくて良かった。


そして、奪うなら今しかない。
あいつに奪われる前に。



そして泣いて抵抗する未結を、無理矢理組み敷いて犯したのだ。





それから数ヶ月後、2人は別れた。
俺が原因だったのかは分からない、康介に聞いても答えなかった。

未結は俺とすれ違っても目も合わせなくなった。
俺もその一件以降、何か吹っ切れて誘われれば色んな女の子と関係を持った。


こうしてはっきりと出来てしまった溝。


だけど、彼女の体に触れた時覚悟したんだ。

もう2度と彼女に笑いかけてもらえないかもしれない。


それでもいい、たとえ仲の良い幼馴染に戻れなくても自らの欲望を叶えたかった。

あの時本気で彼女を手に入れたいと思った。


そう、彼女を傷つけることになっても。