<side 未結>



あの頃。

幼馴染という関係が壊れてしまうことが怖くて言えなかった。

今の関係を壊してまで、宗佑に想いを伝えることができなかった。


私は、臆病だった。


今さらこんなに後悔しても、あの日に時間を巻き戻せる訳じゃない。

でも、どうしても胸に焼き付いて離れないの。

結婚するからこんなにナイーブになってるの……?

それとも、この不安要素は、


私は、宗佑の写真を見て涙を流していた。


彼と幸せになるって心に決めたのに、どうしてこんなにも気持ちが揺らぐの。



「……どうした?」

不意に後ろから彼の声がかかって、途端に写真を隠した。

「な、なんでもないよ……っ」

だけどそんな行動も空しく、彼に写真を取られてしまう。

「誰?」

「……幼馴染」

「そんな泣いちゃう位思い入れがあるの?」

そう聞かれて、思わず次の言葉が出なくなる。
だけど、こんな私の反応は彼からしたら認めたように見えるだろう。



「……未結、俺達結婚するんだよな?」

静かに怒る彼。
私は怖くて彼の目も見れず言葉も出せなかった。
だけどその代わり、しっかり頷いた。

「だったら、他の男の写真見て泣いてんじゃねぇよ」

「やめて……っ」

思わず悲鳴のようにあげた声。

だけど、そんな声は聞きいられなかった。

次の瞬間、ビリっビリっと、音を立てて破り捨てられる写真。

そしてゴミ箱に捨てられてしまった。

それは私の青春時代の想いが詰まったもの。

まるで私の大事な思い出を壊されたかのようだった。



彼がいなくなってからそのゴミ箱を漁って写真を集める。

そしてパズルの様に組み合わせテープで貼って固定した。