そして次の休日、予定通り西川家へ。
「未結さんと結婚を前提にお付き合いさせてもらうことになりました」
そう言って頭を下げる。
ここは、西川家の居間。
昔よくここに潜って遊んだ長方形タイプの掘りごたつ。片側に俺と未結が座り、その正面に佐智子さんと真結ちゃん、そして俺の母親が座る。
一緒に報告してしまおうと、母親も呼んでいたのだ。
そして、上座には未結のお父さん。
すぐに反応を見せたのは真結ちゃんだった。
「う、うそでしょ……っ、いやあーっ」
両頬に手を当てて絶叫し、そのまま横に倒れこむ。
「こら、うるさいわね」
そんな真結ちゃんの体を叩く佐智子さん。
しかし、母さん達はさほど驚く様子はなく、未結のお父さんが話し出すのを待つかのように茶を啜っていた。
未結のお父さんは、しばらく言葉を失っていた。
今日俺が来るっていうのも、何か別件で来ると思っていたらしい。
「……いや、まさか、こんなことになってるとは。お前達は知っていたのか?」
「そんな感じはしてたって位かしらね?」
「そうね、だけどこんなに早いとは思わなかったけれど」
お互い顔を見合わせながら笑い合う母さん達。
「宗祐君。うちの娘に宗祐君はもったいない位で、もうなんと言ったらいいか……」
「とんでもない。ちょっと抜けているところはありますが、天真爛漫で明るい本当にいい子です」
直接的に褒めたことがない俺に、未結から疑うような目を向けられた。
別に言い方は選んでいるが、嘘を言っている訳ではない。
「今のはね、要するに、子どもっぽくてちょっとうざいってことだからね!ね、宗祐さん?」
真結ちゃんに単刀直入に直訳されて、大方外れている訳でもなくうっすら冷や汗が滲む。
「な、そこまでは思ってないでしょうっ?そうちゃん!」
ゆさゆさ横から揺さぶられ、なんでこの大事な場面でこの姉妹は黙っていてくれないのかと心の中で嘆いた。