意を決して自分の気持ちを伝えることに。
「……わ、私は、先生が好きです。私と誠実に付き合うつもりがあるなら、先生にもちゃんと言って欲しいです」
私に促されるまま、熱に浮かされたままの言葉ではないと、意識がはっきりしている今はっきり言って欲しい。
「俺も本気で好きだよ、昨日の夜の余裕のなくなりよう見たら分かるだろ」
自嘲しながら言う彼に、私は追い打ちをかけるように言った。
「はい、もうあんな風に勘違いされて泣かされたくないので、素直になることにしました」
「だから、悪かったって」
バツが悪いのか珍しく謙虚な彼。
いつも傲慢で俺様気質な彼には珍しい。
今なら何でもお願いを聞いてくれそうだ。
「先生、お詫びに私のお願い聞いてくれますか?」
「現実的なことならな」
そう言われて、彼の目の前に左手をぐいっと突き出した。
そして左手の薬指を指しながら言う。
「いつか、ここに指輪が欲しいっていうのは現実的じゃありませんか……?」
思い切ったことを言ったもんだ。
以前だったらこんな大胆なこと口が裂けても言えなかったのに。
彼の反応が怖くて、恐る恐る見上げる。
まだ想いを伝え合ったばかりで、結婚なんてまだまだ先のことだろうけれど。
ちらっと彼を見ると、私がそんなことを言い出すとは思いも寄らなかったのか、目を丸くして驚いていた。
しばらくして鼻で笑いながら、
「可愛いこと言うようになったもんだな」
と言って、明確な答えは告げず、ちゅっと触れるだけのキスをされた。
「は、はぐらかすんですか?」
まさかキスで誤魔化すつもりっ?
問い詰めるかのように先生の体の上に馬乗りになる。
そして真偽を問うかのように彼を睨みつけた。