「そうか、もう一回したいか」


脅されるようににっこり笑われ、私の体に覆いかぶさってくる。

そんな元気があるはずもない。
またバスローブを脱がされそうになって、慌ててタイムカプセルの紙を差し出した。


互いにさっきまで食事をしていた小さめのテーブルを挟んで椅子に座る。


「へぇ、俺のお嫁さんになりたいって、昔はそんなの微塵も感じなかったのにな。わざと俺に興味ないフリして、好きな奴の相談してたのか」

「もう、いちいち聞かないで……」


あぁ、穴があったら入りたいとはまさにこのこと。

恥ずかしくて顔から湯気が出そう。


「なぁ、それって今も変わってないのか?」

「さっきのエッチでちょっと変わったかも」

「だから悪かったってば」


また読み返すそうちゃん。

しばらくして、顔を上げると真剣な顔をして言った。


「俺は、未結と付き合うなら結婚前提で付き合いたい」

胸が大きく鼓動する。


「この気持ちは今も変わらない?」


そう聞かれ、意を決して告白した。


「……変わらないよ。だって、誰と付き合ってもそうちゃんがちらつくんだもん。あの人と付き合ってた時もそう、そうちゃんが忘れられなかった」


恥ずかしくてそうちゃんの顔を見れずに、一気に告げる。


「私はやっぱり、どうしたってそうちゃんが一番好きなの」


それを聞いたそうちゃんが、はぁとため息を漏らした。

人の一世一代の告白にため息とは何事かっ、と睨みつける。


「……そういうのさぁ、する前に言ってくれれば、あんな風には抱かなかったと思うのは俺だけ?」

「そんな簡単に言える訳ないでしょっ」

「何を?」

「だから私の夢は、そうちゃんのお嫁さんだよ、なんて!」


…………っ!

言える訳ないと啖呵きっといて、そそのかされるまま、ついうっかり言ってしまった。

熱くなった頬を両手で押さえながら、自己嫌悪。


「言ってんじゃん」


そんな私におかしそうに、笑うそうちゃん。



「じゃ、改めて聞くけど、結婚を前提に付き合ってくれますか?」


ここまで根ほり葉ほり私の気持ちを聞いといて、今更な質問。

でも、かしこまって聞かれて、私も少し背筋を伸ばして答えた。


「はい、よろしくお願いします」