「そうちゃんのバカっ、もうしない」
散々泣かされた後、ベッドの上でそうちゃんにそっぽを向いて責め立てた。
「悪かったってば」
「あんな妬き方困る……っ」
「だったら、する前にあいつの話出すなよ」
「それは謝るけど……」
「言っとくけどさ、今までは一応大人だからって抑えてきたけど、あいつに妬かないとか無理だから」
「なんで?」
そうちゃんが、私の前の婚約者に妬く要素なんて一体どこにあるの?
「なんでってお前、俺に何言われようが、あいつにベタ惚れだったじゃん」
「それはそうだけど……」
「へぇ、そんなあっさり認めるんだ」
にやりと意地悪く笑う彼に悪寒が走る。
「……っ!」
「もう一回やろうか、あいつとどっちがいいか」
「もう、そうちゃん嫌いっ」
……いつも冷静で大人びていたそうちゃんが、こんな子供じみた仕返しをするなんて思いもよらなかった。
確かにあの時は婚約者しか見えてなかったけど、今はちゃんとそうちゃんが好きなのに。
「嫌いなのか?」
軽々しく私が口走った言葉に、そうちゃんが聞き返した。
それに少し時間を置いて答える。
「き、嫌いじゃない……っ」
「じゃ、それなんて言うの?」
うーうー唸りながら、また時間をかけて振り絞って出した返事。
「……好き」
そう言うと、後ろからぎゅっと抱きしめられた。
「だから、妬かないでよ。そうちゃんのことはちゃんと好きだから、タイムカプセルにだってそうちゃんのことばっか書いてあって……って、」
そこまで言って、閉口する。
何を口走っちゃってるの私は……!
「タイムカプセル?」
「ううん、何でもないっ」
全力で首を横に振る。
「何て書いてあったんだよ?」
「だめ、秘密っ」
こうなったら頑固な私を知っているだろう。
しかし、そうちゃんも何とか私の口を割らせたいらしい。