これが栞との出会いだった。


藤沢が栞を俺の彼女というのは、俺が唯一彼女からの誘いだけは断らないから。

別に付き合っている訳ではない、たまに食事を一緒にするだけ。

会って他愛のない話をして終わり。

俺が彼女の誘いを断らないのは単に、未結に少し似てるからだとか、彼女が可愛いからだとかそんな理由じゃない。



……そう、これは俺の罪滅ぼし。

俺のせいで、彼女の心に深い傷を負わせてしまったから。

この強気な姿は仮のもので、本当は人一倍繊細だったのに。

まだあの時、俺はそれを見抜けていなかった。