いい年して泣きじゃくる、上半身ブラジャーだけの私。
先生は私の畳についた手を取ると、ゆっくり体を起こした。


「……もう本当に君はしょうがないね」


そう言って、子どものように服を着させてくれる。

いつの間にか先生の声にはいつもの暖かみが戻っていた。

ティッシュを取って、私の顔の涙やら鼻水をぐりぐり拭いてくれた。

しかし乙女の柔肌をそんなに力任せに拭かれては……。


「あ、あの、先生ちょっと痛いです……っ」

「え、そうかい」

抑揚のない声にわざとやっていることに気付いて、むっとする。

「もうっ、わざとでしょう?」

「あぁ、君が本当にどうしようもない分からず屋だから怒っているんだよ」

「え?」


怒っているようには到底思えない声色で言うから、つい混乱してしまう。


「本当のところ、君に惹かれていくことが怖くてね。これ以上一緒にはいられないと思って、なんとか今日限りにしてしまいたかったんだけど」

「……っ!」

「もう降参だ。君には、ほとほと参ったよ」


彼の諦めたような笑みに、私は思わずその胸に飛び込んだ。