「……あの時本当にごめんね」

「いいよ、病院向かう中で謝り倒してただろ」

「……そうだっけ?」

「そうだよ覚えてねぇの?もういいって言ってるのに、ずーっと泣きながらごめんね、ごめんねって。こっちは痛いっていのにしがみついてきてさ」

あぁ、そういえば……確かにタクシーの中で、ずっとそうちゃんにくっついていた気がする。
気が動転していたとはいえ、そんな恥ずかしげもなく、そんなことを……っ


「病院着いてもさ、どっちが患者か分かんない位参っててさ。怪我したのは俺なのに、なぜか俺が所構わず泣き続けるお前を支えて病院に行ったんだろうか」

「だって、そうちゃんが……っ、そうちゃんが大変だと思ってっ」

「分かってるよ、ありがとう」

違う、そうちゃんにありがとうって言わせてどうするのっ。
それはこっちの台詞だよ、そうちゃん……!


それからずっと下を向き続けていた。
そして、声がかかった。


「着いたよ」

……結局、ありがとうって言えないまま家に着いてしまった。
するとちらっと私の顔を盗み見たそうちゃんが、どうしたのというように少し微笑んで声をかけてくれた。


「何でそんな顔してんの?」

「……っ」

「帰したくなくなるでしょ」

気が付いたら下唇が痛くなる程噛みしめて泣きそうになるのをずっと耐えていた。
頑張って声を振り絞る。

「……そうちゃん、少し話たい」