<side 未結>
母親の突拍子もない思いつきに、私は慌てて反論した。
「そ、そうちゃんだって久しぶりの休日だろうし、1人でゆっくり休みたいはずだよっ」
「そんなことないわよ、ねぇ宗佑」
晶子さんに直接聞かれ、私を前にうんとは言えないそうちゃん。
「でもでも、帰りだって送ってもらう手間がかかるし」
「送ってもらうつもりでいるなんて、なんて図々しいのかしらこの子は。バスがあんでしょうよ、バスがっ」
眉を垂れさせて嘆く私に容赦なく、まるで吐き捨てるかのように言うお母さん。
すると晶子さんがすかさず、そうちゃんに念を押す。
「あら、だめよ宗佑、ちゃんとお送りしないとっ」
強烈なお母さん達に口でかなうはずもなく、頼みは真結へ。
残るのならせめて私1人じゃなくて真結もいたら……。
そんな思いで藁にもすがる思いで真結を見つめる。
いつもの調子で、真結もー、とか言わないだろうか。
「ね、ねぇ、真結も帰るの?一緒にお手伝いしていかない?」
「うーん、じゃ、真結も残ろっかなー」
ちょっと考えた後に、そう申し出てくれた真結。
心の中で大きくガッツポーズをした矢先、お母さんに腕を掴まれ連行されていった。
「あんたが残っても家事なんでお手伝いできないでしょ、邪魔なだけよ」
真結をとられてたまるかと、それにすかさず反論する。
「そんなことないよ真結は料理上手になったもんね?」
「邪魔ってひどいなー、少し位ならお手伝いできるよっ」
しかし、私達の発言なんて全く耳に入れてもらえず、すっかり話題は別の方向へ。
「ねぇ、帰りにスパでも寄って行かない」
「いいわねー」
「えっスパっ!?わーい、真結も行くー」
しかし、スパと聞いてすぐさま寝返った裏切者。
さっきまで、残ると言っていてくれたのに晶子さんに連れられ意気揚々と出て行ってしまった。