「未結からは自分の不注意で宗佑君に鍋をかぶせてしまったって言うんだが本当かい?」
「えぇ」
「いや、まさか裕樹君と喧嘩になってそれで浴びせられたんじゃって心配でね」
「もう彼にあまり良いイメージを持てなくなっていしまったから気がかりで。2人で何か隠してるんじゃって」
未結の両親からそう心配され、事実を述べる。
「いえ、あの本当に彼は関係ないです」
「そうか、なら良いんだけど……、しかし、未結の不注意で落とした鍋にぶつかるなんてどんな状況だったんだい?」
率直な質問に、思わず閉口してしまう。
大体未結から話はいってるもんだと思っていたんだが。
……まぁ、言わないよな。
そんなことまで言ったら、俺が未結のことをただの幼馴染だと思っていないことがバレる。
あくまで自分の不注意で、と通すつもりだったんだろう。
「えっと……」
言葉に詰まる俺の横からすかさず未結が口を挟んだ。
「だ、だから、私がねつまずいた先にそうちゃんがいて鍋がぶつかちゃったんだって」
……本当に誤魔化すのが下手だな。
未結の狼狽えっぷりを見てつくづくそう思った。
まぁ、言葉が出てこない俺よりはマシか。
すると、眉をひそめた真結ちゃんから疑うような視線を投げかけられる。
「何か2人隠してるでしょー?だってそのお姉ちゃんの顔、真結の冷蔵庫の中のプリン食べてないって言う時の顔だもん」
「はぁ?」
訳が分からないというように、短く反論する未結。
「だから何か隠してる時の顔ってこと。怪しいのー」
更に、目を細める真結ちゃんに、母親が口を挟んだ。
「まぁまぁ細かいことはいいじゃないの、大事に至らなかったんだから。ね、宗佑」
そう言って意味深に微笑んだ。
まるで何か勘付かれているようで、顔が引きつってしまう。