<side 宗祐>


俺を連れておいおい泣きながら病院に行った後、高城先生に軽症だから心配しないようにと笑われ、彼女は帰って行った。

その後すぐに未結の家族から連絡が来たことで、やっと家に帰ったんだなと安心した。

そして、事情を知った両親から一度ちゃんと顔を合わせてお礼を言いたいと言われた。
しかし、なかなか仕事で忙しく都合をつけられず、あの一件からもう2週間が過ぎようとしていた。


その間未結からの連絡はなかった。

元気にしているだろうか、あいつとはちゃんと縁を切れたんだろうか……?
聞きたいことはたくさんあった。

だけど、自分から連絡することはなかった。
彼女には俺の気持ちを知られてしまっている。
連絡がないということは、俺の気持ちに応えられないから……、そう考えたからだ。



『あ、宗祐ー?久しぶりー』

仕事から疲れて帰宅するなり着信が入った。

電話に出るなり、耳の奥まで突き抜けるような明るい母親の声。
げんなりしながら少し耳から携帯を離して答える。

「……何?」

『何って、何その不機嫌そうな声』

「疲れてるんだよ、要件があるなら手短にして」

『だから、あんたいつになったら都合つくのよって話よ』

「あー……」

『あーって、もうっ忘れてたでしょ!』

きんきん響く電話口に更に遠ざけた。


『もう、あちらさんから、まだかまだかって言われてるのよ。もう家にも菓子折り頂いちゃって逆に申し訳ないったら』

「しょうがないだろ、忙しいんだから」

『そこをさ、なんとかして都合つけてよー。調整してってお願いされてるのよ』

それからもあーだこーだと続いた母親の話。
俺が何と言おうにも最後には、ね、お願い!で押されて、仕方なく今度の休みにそっちに行くと約束し電話を切った。