「えー!全然優しくなんか、んー!」
ないよって言おうとしたのに、急に伸びてきた相ケ瀬くんの手に口を塞がれてしまった。
そしてはははと言ってるけど笑ってない姿に急に自分の背筋がピンっとなった。
やばい!これは余計なこと言うなって意味だ。
でも、嘘なんか言ってないのに‼
あたしは仕方なくゆっくり相ケ瀬くんの手を離して、『あやの話は?』と言って話を変えた。
相ケ瀬くんはその場の状況を読んで、小さな声で「話終わったら呼んで」と言ってリビングから出ていってしまった。
急に表情が堅くなったあや。視線も下に行っていてあやから話すの待った方が良かったのかなって後悔の念が募ってきた。
「あのね……」
「あのね……私、好きな人に振られちゃったんだ」
切なく笑うあやになんだかあたしの心が苦しくなった。