ーガチャ
「あや、出るの遅くなってごめんね」
「山本さん、こんにちは」
泣いていたあやはと言うと、涙が止まってしまうくらいびっくりしたみたいでポカンとしていた。
視線はあたしではなく、相ケ瀬くんに行っていた。
「なんで王子がここに?」
「いや、その名前は止してよ。俺、陰でそんな呼ばれ方してるの?」
話し方が急に変わった。さっきまであたしと喋ってた時と違って全然トゲがない。
ちょっと気に食わなくて一瞬横目で睨んでみたけど、全然相ケ瀬くんは気づいてくれなくてやめた。
「うん!そうだよね、ひかる?」
「え、うん。あっ!あたしはそんな呼び方してないよ!!」
あたしが必死に拒否すると、二人は笑っていた。