「あーそういえばあれ、部室に俺が忘れてったやつだ。



もう乾いてるよな?もらっててもいい?」



「あ、うん!」



あたしはすぐにエナメルバッグから鍵を取り出して家のドアを開けた。



バタバタと音を立てて急いで階段を上って、バルコニーに出てビブスを取り外してまたドアを開けると



そこにはもう相ケ瀬くんの姿しかなかった。



「相ケ瀬くん、持ってきたよ!あれ、みんなは?」



「先帰っていいよって言った。あ~危なかった」



余裕な表情で普通に靴を脱いで上がっている。



本当に危なかったなんて思ってるの?



でもビブスに気付いてくれたおかげで遠回りしなくて済んだかと暢気に言っている。



「ちょっと!ビブスは?」



「部屋に置いといて。あと、イチイチあんなことで動揺すんなよ!バレんだろ」



相ケ瀬くんはニヤっと嫌そうに笑うと、そのまま浴室に歩いて行ってしまった。