勝ってた時はあんなに雰囲気よくて、やりきった感がベンチで見ててもあったのに



負けた時はあっという間で、負けたという実感が未だに湧かない。



帰りのバスは誰も喋ることのないしーんとした重苦しい空気の中、ただひたすら早く学校に着いてと願いながら空を眺めていた。



2、3年生の先輩たちとは学校に着いてすぐに分かれて、一年は荷物を部室に戻してから帰ることになった。



そして、途中まで家が同じ方向のあたし含めた部員5人で一緒に帰ることに。



横に5人並びながら、学校を一歩ずつ離れていく。



「夏の大会、終わったな」



「だな」という共感の声に、誰かが「でも、俺たちにとってはここからが本当の始まりだろ」と言った。