それはある日のことでした。



桜が明後日の入学式にちょうど満開になりそうなくらい徐々に花が咲いてきた4月。



友達のあやと新しくできたカフェに行って、高校生活楽しみだねって話をしながら家に帰ってきた時



玄関のドアを開けていつものように『ただいま~!』とリビングに向かって大きな声で言うと



目の前にいたのはポッキーを食べながら変なものを見たかのような顏をする知らない男の子。



「うるさっ」



すらりと伸びた手足に、少し小麦色がかった肌に、柔らかそうな茶色い髪。



そして鼻筋がまっすぐ通ってて、切れ長なのに、大きな二重で整った顔立ち。



彼はそれだけ言うと、あたかも自分の家のように階段を上って行ってしまった。