そんなことも知らない夢達は楽しそうに鼻唄なんて歌ってる。

近所迷惑だよ……。


ていうか、帰るの何時になるんだろ。

お母さんに遅くなるってメールしとかなきゃ。


鞄から携帯を取りだそうとしたその時


「危ねぇぞ」

いつの間にか、車道に出ていた私を歩道まで引き寄せてくれたのは

「あ、うん」

橋田君だった。


「ありがとう」

ヤバイ、ドキドキが止まんない。


「歩きながら携帯触るのは危ないぞ?」

「う、うん。そうだね」

普通に普通に!

じゃないとこのドキドキが聞こえちゃうよ!



私が橋田君にドキドキしながら歩いている、その時


グラッ

「ワッ…」

ヒールが傾いて、転けそうになった。


「おっと」

「っ……//」

橋田君が支えてくれた。

「ありがとう……//」

ダメだ、顔見れない。


「慣れてねぇんだろ?ヒール。待ってな、変えになるもの、買ってくる」

「っ……」

やっぱりカッコイイよ……。

触られた脇とか、腕とか
体の橋田君が触れたところ全部脈打ってる。
いつも以上に激しい。


「大丈夫?好香」

「うん、平気」

「ごめんね?私らが慣れてないヒール履かせたから」

「良いよ良いよ!」

この2人はお調子者だけど、本当は凄く優しいんだよね。

だからつい許しちゃうんだ。


「ありがと!それよりさ、もしかして好香って……」

「ほい、買ってきた」

夢が何か言いかけたけど、橋田君が来たら何も言わなかった。

何が言いたかったんだろう。


「あれ、嫌?」

夢をじっと見て、何も言わない私に橋田君は言った。


「へ!?ううんっ。嬉しい!ありがとう!」

「なら良かった。いくま、今日はもう終わりにしようぜ。もう10時だし、この子もケガしてるしさ」

「そ、そうだな!じゃあ今日はもうお開き!」

私はね、橋田君からもらったものなら何でも嬉しいの。

ねぇ、橋田君。
私、貴方のこと好きになっても良いかな?


「足、気をつけろよ。んで、もうヒールは履かないほうが良い。見た時からすっげーあるきにくそうだったから」

ドキッ…

み、見ててくれたの?
私のこと……。




「「じゃあねぇ!」」


私達は各自家へ帰った。


私……やっぱり、橋田君が……好きかも。